悲しみの処方箋
宮林 幸江さん
(自治医科大学教授で
日本グリーフケア協会会長で「悲嘆回復ワークショップ」を開催)
10月に入り朝夕の温度差が激しいですね。
朝夕は上着を来てても昼間は暑くってTシャツに。
服選びが毎日難しいです。
皆さんも風邪など引かないように気をつけてくださいね。
さて、今日は遺族が悲嘆の日々から立ち直るためのセミナー
「悲嘆回復ワークショップ」を立ち上げた宮林さんのお話です。
宮林さんはご主人を1999年に〝大腸がん〝で亡くされました。
〝私自身1999年からこの苦しみが始まったので、
この数字をみるとドキッとしてしまいます〟
そばにいるハズの人がどこを探しても絶対にいない。
この事実は何とも切なく、苦しく、私は悲しみの底に沈み、
なかなか這い上がる事が出来ませんでした。
夫の死後一年間はただ喪の行事の流れ作業に明け暮れ夫の死にまつわる事務的な処理をこなしました。
そして、これからは息子を1人で育てなければならないという思いで、悲しみを半場封印して仕事に励みました。
自分は適応力がある方だから大丈夫、きっと立ち直れる。
そう思ったが1年を過ぎても悲しみの底から抜け出す事ができない。
そして、うつ的症状におちいってしまう。
無性に夫の話をしたくて病院の人なら話を聞いてもらえると思い何度も病院の入り口まで行きました。
でも、日本の病院は病気を治すところで遺族の悲嘆をケアするシステムはありません。病院側は困惑するだけなのです。
そんな時に分かち合いの会(死別者同士で話をする会)の存在を知りに出席したそうです。
死の直後は周囲の皆さんも気遣ってくださいますが、1年も経てば『忘れられている 』と思う事がしばしば。
ですから、会で話を聞いてもらえ、泣かせてもらえ、救われた部分は確かにありました。
でも、再生という前向きな気持ちまで到達できなく、
苦しさから逃れたい一心でアメリカにグリーフケアの勉強に行き帰国後に「悲嘆回復ワークショップ」を立ち上げました。
泣くこと、書くことなどが心の整理につながる。
流れるままに涙を思いっきり流すという感情の表出しがとても大切です。
涙とともに自分の悲しみを素直に出すことができると、それだけで気持ちが楽になります。
思いを綴る事は心の整理に大きく役立ちます。書くことで自分を客観視でき、死別のショックによってよじれたり、絡まってしまったりした心の糸を1本1本ほぐすことができます。
そして、気持ちを人に話す事も心の再生につながります。
「人は人により癒やされるんですよね」
〝宮林さんの言う
「人は人により癒される」と言う言葉がとても心に入りました。
アルシェロもそんな会にしていきたいと改めて思いました。
皆さんも泣きたい時はしっかり泣いて感情を出してくださいね。〟
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